大田市

概要

大田市は島根県西部に位置し、面積約991km²、人口約57,000人（2025年時点）を擁する市です。中国山地から日本海に至る多様な地形を持ち、かつては石見銀山の行政拠点として栄えた城下町の歴史を今に伝えています。市街地には古い町並みが残り、山間部と沿岸部が融合した自然環境が豊かな暮らしを支えています。

歴史的背景

大田市の前身は江戸時代に石見銀山の代官所が置かれた大森代官所で、石見銀山の採掘と流通を司る重要拠点でした。明治期の代官所廃止後も大森の町並みは保存され、古い町家や土蔵群が残ります。昭和30年代まで銀山の活況が続き、その文化遺産が世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」として登録されました。平成17年（2005年）の市町村合併により旧大田市と周辺町村が統合し、現在の大田市が誕生しました。

市町村の特色

大田市は世界遺産石見銀山をはじめ、歴史的資源を観光振興に生かす取り組みが進んでいます。代官所跡付近では伝統工芸の銀細工や和紙の製作体験が可能です。農林業では斐伊川流域の水田で育まれるコシヒカリと山間部のくぬぎ林を活用したキノコ栽培が地域産品として知られています。地場産業と観光産業が連携し、ワーケーションやエコツーリズムの拠点づくりも進行中です。

文化と観光

石見銀山大森エリアは銀山街道沿いに散策路が整備され、古い町並みと坑道入口が歴史散策の見どころです。龍源寺間歩や坑内見学ができる観光坑道は、当時の採掘技術を今に伝えます。島根県立石見銀山資料館では発掘品や歴史資料を展示し、銀山の成り立ちを学べます。沿岸部の佐津海水浴場や温泉施設も魅力的で、四季を通じたアクティビティが楽しめます。

自然と交通の利便性

大田市はJR山陰本線の大田市駅が玄関口で、松江駅へ普通列車で約1時間、益田駅へ約40分でアクセス可能です。道路では山陰道（無料区間）と国道9号が整備されており、中国自動車道の吉和IC・三次ICからもアクセスが容易です。地域内には路線バスが運行し、大森地域や温泉地への公共交通も確保。自然散策路やサイクリングコースが整備され、アウトドアレジャーの魅力も充実しています。