FAQ
片付けたくない気持ちとどう向き合うか:心の整え方
遺品整理に向き合うとき、誰もが一度は抱く「片付けたくない」という気持ち。
それは単なる“面倒くささ”ではありません。
愛する人を失った悲しみ、モノに宿った思い出、片付けてしまったら忘れてしまいそうな恐れ——遺品整理とは、心と深く結びついた行為だからこそ、なかなか前に進めないのは自然なことなのです。
片付けたくない気持ちと向き合うための心の整え方を、優しく、実践的な視点から解説します。
1. 「片付けたくない」は正常な感情
人が亡くなると、その人の持ち物が「遺品」へと変わります。
見慣れた服、使い慣れた道具、手紙や写真……どれもが思い出を呼び起こし、「捨ててはいけないもの」のように感じてしまうのは、当たり前のことです。
そのため、「片付けること=忘れること」と無意識に感じ、手をつけられなくなる人も多いのです。
まずは「片付けられない自分」を否定せず、その気持ちを認めてあげることが出発点です。
2. なぜ今、片付ける必要があるのかを考える
片付けたくない気持ちを抱きながらも、片付けなければならない理由がある場合、少し立ち止まって「なぜ今やる必要があるのか」を見つめ直してみましょう。
- 家の売却や引っ越しの予定がある
- 他の家族との共有空間を整えたい
- 故人の希望で「早めに片付けてほしい」と言われていた
“必要性”がはっきりすれば、作業を前向きに捉えやすくなります。
3. 心の整理を優先する日をつくる
「今日は整理する日」ではなく、「今日は思い出に向き合う日」と考えてみましょう。
アルバムを開いて写真を眺める、手紙を読んでみる、故人が好きだった音楽を聴く……物理的に何かを捨てなくても、それは立派な整理の一歩です。
作業を始めることよりも、「気持ちの準備ができた」ことに意味があります。
4. 「片付けない」ことを選んでもいい
無理に整理を急がなくてもいいのです。特に一周忌までは、手元に置いておきたいという気持ちはとても自然なものです。
- 思い出の品は専用の箱にまとめておく
- 見える場所に1つだけ残しておく
- 時間が経って気持ちが変わったときに、見直せるようにする
整理とは、「片付けること」ではなく「整えること」。今すぐ処分しない選択もまた、大切な整え方です。
5. 誰かと一緒に整理するという選択
一人で向き合うと、どうしても感情があふれてつらくなります。
- 家族や親戚に一緒にいてもらう
- 整理を手伝ってくれる友人を呼ぶ
- プロの業者に立ち会ってもらう
誰かと一緒に取り組むだけで、心が軽くなり、「やってよかった」と思える整理になることがあります。
6. 一つだけ手をつけてみる
もし、ほんの少しでも気持ちが向いたら、「1つだけ」触れてみましょう。
- 1通の手紙を読む
- 1枚の写真を手に取る
- 1冊の本を棚から出してみる
その1つが、次の1歩を引き出すこともあります。
まとめ
片付けたくない。その気持ちは、故人を大切に思っていたからこそ湧いてくる、正直でまっすぐな感情です。
無理に前に進まなくてもいい。
大切なのは、自分の気持ちに正直に、やさしく向き合うこと。そして、いつか心が整ったときに、少しずつ歩き出せる準備をしておくことです。
遺品整理は“誰かのため”だけでなく、“自分のため”の時間でもあります。
焦らず、責めず、あなたのペースで、心と暮らしを整えていきましょう。