上天草市

概要

上天草市は熊本県北西部の天草諸島に位置し、面積約126平方キロメートル、人口約27,000人（2025年時点）の市です。主要な島である上島、湯島、松島、龍ヶ岳地区などから成り、多島海の景観と漁業資源に恵まれています。温暖な気候と透き通るような海が地域の魅力となっており、水産業や観光業が主要産業です。

歴史的背景

上天草市域は中世から天草氏の勢力下にあり、キリシタン信仰とも深い関係を持ちました。江戸時代後期には隠れキリシタンの拠点となり、島原の乱後は天領として幕府に直接統治されました。明治以降は漁業と製塩業で地域経済が支えられ、平成17年（2005年）の市町村合併で上天草市が誕生し、多島海を活かした観光振興が進められました。

特色

上天草市は豊かな海の恵みを活かした養殖業と定置網漁が盛んで、特に真珠養殖やタチウオ、ブリなどの水揚げが知られています。地域の漁港では鮮度の高い海産物を直接購入できる市場があり、地元の食文化を支えています。また、海上タクシーやクルージングサービスが発達し、島々を巡る観光プランが多彩です。

文化と観光

市内には江樋戸教会や崎津教会などの教会群が点在し、世界遺産暫定リストに登録されたキリシタン関連遺産を訪れることができます。龍ヶ岳の山頂からは多島海を一望できる展望台が整備され、ハイキングや星空観察の名所となっています。毎年初夏に開催される「天草四郎トライアスロン大会」では、海と山を舞台にした競技が行われ、多くの参加者と観光客を集めます。

自然と交通の利便性

上天草市は熊本市や八代市から車で国道266号を経由し約2時間でアクセスでき、市内には路線バスや島内シャトルバスが運行しています。フェリーや高速船の定期航路が本渡港と熊本港、天草下島を結び、海路でのアクセスも整備されています。市内にはコミュニティバス「うえ天草バス」があり、主要観光地や公共施設への移動がサポートされています。