遺品整理は、シンプルに言えば、遺品を必要な物と不要な物に仕分ける作業です。しかし、いきなり手をつけてしまうと、物の多さに何をどうすればいいのかわからなくなってしまうので、作業にとりかかる前に、残す物をしっかり頭に入れておきましょう。遺品整理を予定している方だけでなく、実家の片付けを予定している方にも役立つ内容なので、ぜひ読んでみてください。
遺品整理にとりかかる前に
遺品整理にとりかかる前に、まず確認しておかなければならないのが、故人の考えです。故人が、家族に資産や遺品をどう扱ってほしいのか、その考えを確認します。遺書やエンディングノートが見つかっていないようであれば、まずこれらが存在するのかどうか、探索によりはっきりさせましょう。
遺書には法的効力があるので、財産分与のことがおもに書かれています。ご遺族は故人の考えにしたがいましょう。財産分与のほかには、生命保険のこと、相続人に関すること、家族に存在が知られていない子どものこと、などについて書かれている可能性があり、家族は故人の考えを尊重する必要があります。
一方、エンディングノートに法的効力はありません。エンディングノートはその分、故人が自由にこれまでの感謝や今後の希望などをつづれる文書だといえます。法的効力がないとはいえ、やはり故人の思いはできるだけ尊重するのが理想的です。
遺品整理で遺品を仕分ける基準や仕分けの際に考えるべきこと
遺品整理にとりかかる前に、遺書やエンディングノートで故人の考えを確認しても、実際はこれだけでは情報不足です。故人としても、持ち物すべての処分のことまで考えられないでしょう。まずは家族や親族と話し合いの場を持ち、遺書やエンディングノートの内容を全員が把握するとともに、遺品を仕分ける基準を決めましょう。以下にあくまで参考ではありますが、遺品を仕分ける基準や考えるべきことを挙げてみました。
大切にしていた物
故人が大切にしていた物は、形見として残しておくことを考えましょう。
仕分けに迷う物が出てきたら「保留」
仕分けに迷う物が出てきたら、保留しておいてあとで判断しましょう。実際に遺品を仕分ける際は、ある程度、強い心で取捨を選択する必要がありますが、それでもなかなか判断できない物が出てきてしまうものです。後悔することは避けたいので、保留した遺品に関しては、最後にまとめて取捨を選択しましょう。
デジタルデータにすることを考える
古いアルバムが多数ある場合は、デジタルデータにして残すことを考えましょう。保管スペースの問題もありますし、アルバムの状態次第では、そのまま保管しても写真がすぐに傷んでしまう可能性があります。デジタルデータで残す、もしくは通風のある冷暗所に保管するのが理想的です。
遺品整理で残しておく物
遺品整理の際は、遺書やエンディングノート、相続関連の書類などを残すことはわかっていても、ほかの物に関しては意外と漠然としか把握できず、そうなると「保留」に仕分けする物が増えすぎてしまいます。そのため、もう少し細かく、残しておく物を決めておくようにしましょう。信頼のおける遺品整理士がいる遺品整理業者に依頼するのであれば心配することはありませんが、ご遺族だけで作業を行う場合は、あらかじめ「残す物一覧」を作っておくことをおすすめします。以下に紹介するのは、遺品整理で残しておくことが望まれる物です。一覧を作る際の参考にしてください。
故人の考えがわかる書類(遺言書やエンディングノート)
すでに触れましたが、これらの書類は、故人の考えがわかる書類です。生前に何を望んでいたのかがもっともよくわかる書類なので、必ずとっておき、とくに遺書については相続や遺品の仕分けの際、財産状況を把握するとともに、書かれたことを忠実に実行しましょう。
鍵類
遺品のなかに鍵を見つけたら、すべて残しておきましょう。小さな南京錠用に見える鍵など、用途がわからないものでも、もしかしたら貴重品につながるヒントになる可能性があります。金庫の鍵をなくしてしまうと、専門の業者を呼んで開けてもらわなければならず、多額のお金がかかることもあるので、とにかく鍵類を見つけたらすべて残しておくことが重要です。
お金に関わるアイテム(現金、預金通帳、保険証券、カード類、電子マネーなど)
現金や預金通帳などのお金とお金に関わるアイテムは、当然のことながらとても重要です。保険や株式などの証券もお金に関わるアイテムなので必ずとっておきましょう。高齢の方はとくに、お金に関わるアイテムを隠していることがあります。
クレジットカード、デビットカード、銀行のキャッシュカードも必ずとっておきます。通帳同様、解約手続きをするときに必要です。支払いが残っている可能性があるので、クレジットカードの利用履歴とひもづけられている銀行口座の残高も確認してください。
電子マネーも忘れてはいけないアイテムです。カード、アプリの形態がありますが、これらの残高は事業者に申し出れば払い戻してくれます。
カード類、電子マネーは銀行口座とひもづけられていることが多いので、関連しそうな郵便物もとっておくことが望まれます。
もしも、「あることはわかっているけれども見当たらない」というアイテムがある場合は、ノウハウを持つ経験豊富な遺品整理業者に探索を依頼したほうがいいでしょう。
印鑑
鍵やお金に関わるアイテムと同じぐらい重要なのが、この印鑑です。印鑑は、使い分けられているはずなので、事業用、個人口座用など、その用途を確かめなければなりません。印鑑と同時に、印鑑登録証もキープしておきましょう。印鑑登録証は自治体に戻すことになっています。
身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート)
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの身分証明書になり得るアイテムは必ずとっておきます。亡くなられた時点でこれらは失効することになります。このなかで、パスポートは発行元に返還しなければなりません。マイナンバーカードは死亡届の提出と同時に失効するため、返還の必要はありません。運転免許証も返還する必要はありませんが、通知は届くことになるので、これを止める場合は警察署や運転免許センターで手続きをする必要があります。
国民健康保険などの保険証
国民健康保険などの保険証は、資格喪失手続きをしなければならないため、必ずとっておきましょう。マイナンバーカード同様、死亡届の提出時にまとめて手続きをすることになります。
年金手帳
年金を受給している方が亡くなられた時点で受給資格がなくなるので、届出が必要です。年金手帳を見つけたら、必ずキープしておきましょう。未支給の年金がある場合は、配偶者や子ども、父母など、3親等内の親族なら受け取ることが可能です。(優先順位があります)
保険料を納めていたけれども、年金を受け取らずに亡くなられた場合は、ご遺族が「未支給年金」「遺族年金」「寡婦年金」「死亡一時金」のいずれかの形で受け取れる可能性があります。この場合は管轄の年金事務所に問い合わせてみましょう。
権利書
現在は、不動産を登記する際、法務局から「登記識別情報通知書」が発行されていますが、かつては「権利書」と呼ばれる書面による証明でした。権利書は不動産登記情報の確認のために重要なので、もしも見つけた場合は必ずとっておきましょう。
スマートフォンやパソコン、パスワードが書かれた紙など
最近はスマートフォンを使う高齢の方が増えています。支払いやポイントの利用、カメラとして使う方も多く、だからこそ、スマートフォンのなかには重要な情報が収められています。スマートフォンやパソコンなどのデジタル遺品は、多くの場合、パスワードがわからないと情報にアクセスできないため、パスワードが書かれた紙などが保管されていないか、注意して探してみましょう。
リースされていたアイテム(借り物)
リースされていたアイテムは、かんたんに言えば「借り物」です。たとえば、インターネット接続用のWi-Fiルーターは、多くの場合、借り物なので、解約の際に接続業者に返す必要があります。
介護されていた方の場合は、ベッドや手すりなど、借りていた介護用品があると思います。リースの契約書とともにすべて保管しておきましょう。
会社勤めをされていた方は、何か会社から借りているアイテムがあるかもしれません。ノートパソコンやスマホなどの電子機器を借りている場合があるので、シールなどで会社の物と確認できた場合は返しましょう。
請求書、領収書
ライフラインの請求書や領収書は、支払いの確認の意味もあるのでとっておきましょう。最近の3~4ヶ月程度のものがあれば、用途的には十分です。支払いに関する郵便物もあればいっしょにとっておきます。
思い出になるアイテム
写真や手紙を筆頭に、故人、そして家族の思い出になるアイテムはとっておきましょう。写真は、先ほども触れたとおり、デジタルデータにして残すことも検討しましょう。スキャナーがあれば、時間はかかるものの、ご自身でデータ化してハードディスクなどに保存しておくことが可能です。写真をデジタルデータに変換してくれる業者もあります。
故人の筆跡を感じられる手紙も思い出のアイテムのひとつです。故人が大切にしていたアイテムであればなんでも思い出になります。すべてをとっておくことはできませんが、今後も折に触れて眺めることになるので、思いで深いアイテムは必ずとっておきましょう。
売却できる可能性があるアイテム
売却できる可能性があるアイテムは、ご遺族にとっては不要だけれども価値があるアイテムのことです。
売却できる遺品はたくさんあります。
高級腕時計、貴金属や宝石類、ブランドバッグなどは高く売却できる可能性があるアイテムの代表格です。家電製品は、高年式製品なら比較的高値で売却できる可能性があります。
フィギュアなどのコレクターズアイテムのなかには、驚くような高値で取り引きされている物もあるので、まちがっても「処分するアイテム」に仕分けないようにしましょう。骨董や、絵画などの芸術品のなかにも、驚くべき高値がつけられるアイテムが眠っているかもしれません。趣味のアイテムはあなどれないので、その価値を調べて確認することが重要です。
まだまだ売却可能な遺品は数多くあるので、気になるアイテムについては、その価値を調べることを強くおすすめします。
遺品整理の際に注意すべきこと
遺品整理では、大量にある物を仕分ける必要があります。この遺品整理の作業の前後で注意すべきことをご紹介します。
ライフラインは止めずにキープ
電気や水道などのライフラインを止めてしまうと、遺品整理の作業をする際、とても不便です。灯りがなければ作業できない場所もあるはずですし、水道が使えないと拭き掃除もできません。
誰もいないことを悟られないようにする
悪い人間はどこにでもいるものです。遺品整理をする場所が戸建て住宅なら、空き家であることを悟られないようにすることが重要です。空き家に侵入して盗みを働く輩も存在するので、たとえば郵便物がたまらないようにしたり、門扉の周辺や庭を荒れ放題のままにしたりしないようにしましょう。
家財を運び出す手段を考える
遺品整理の際は、ごみや不用品も大量に出ます。処分する、しないにかかわらず、家財を運び出す作業は必ずあるので、ピアノ、ベッドやタンスなどの大型家具があるようなら、運び出せるかどうかシミュレーションしておきましょう。ピアノやベッドともなると、ご遺族だけで運び出すことは不可能です。遺品整理業者や専門の業者に相談する必要があります。
形見分け
形見分けは、故人と関係の深かった人にするものです。とくに包む必要はなく、そのまま渡すだけでかまいません。ただし、形見を受け取りたくないという人もいるので、その場合は無理強いしてはいけません。ご遺族が引き取るか、供養してもらいましょう。業者を利用して遺品を整理する場合は、形見分けの品の配送や、遺品の供養もまとめて依頼することが可能です。
まとめ
遺品整理で物を仕分ける際は、遺書やエンディングノートなどの故人の考えがわかる文書のほか、お金に関わるアイテム、サービスの解約手続きの際に必要な物、確認のために役立つ書類(領収書や請求書)を優先的に探しましょう。遺品整理では大量の家財を仕分けなければならないため、作業はなかなか大変です。遺品整理の作業に不安を感じている方は、業者に相談することを検討してください。
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