火の不始末から火事を出してしまったら、損傷のレベルにより後片付け、もしくは建物を解体する必要があります。この記事では、火事の後片付けについて、費用や実際の作業の流れなどを含めて解説しています。もしものときのために、読んでいただければ幸いです。
火事の後片付けにはごみ処理と清掃の費用がかかる
火事の後片付けは、ボヤ程度の火事を除き、通常は専門の業者に依頼して行います。専門の業者に片付けてもらう場合は、ごみ処理のための費用と清掃のための費用を、依頼者が負担する必要があります。
ごみ処理のための費用
火事の際に発生するごみは、通常の家庭ごみと同じ「一般廃棄物」と、解体工事により発生する「産業廃棄物」に分けられます。
一般廃棄物に該当するのは、火事で損傷した家財などです。家具や衣類、電化製品など、もともと家にあって損傷した物は一般廃棄物です。
産業廃棄物に該当するのは、がれきなどの廃材です。
一般廃棄物と産業廃棄物は、それぞれ収集依頼先が異なるので注意が必要です。一般廃棄物は「一般廃棄物処理業者」へ、産業廃棄物は「産業廃棄物処理業者」へそれぞれ依頼します。
30坪程度の一般的な戸建て住宅が全焼してしまった場合、最低でも150万円程度の費用をみておく必要があります。
清掃のための費用
家財や建材が燃えると、有害物質が発生し、現場は火が消えた状態であっても危険な状態が続きます。そのため、業者に清掃と消臭を依頼するのが一般的です。費用は作業内容により異なり、一般的な戸建て住宅の場合、ススを取り除く清掃作業で1㎡あたり1万円程度、オゾンを用いる消臭·除菌作業で4万円程度が相場です。
火事の後片付けをする前の準備
焼損があまり激しくない場合はとくに、後片付けを急いでしまいがちですが、作業に入る前にやるべきことがあります。やるべきことは4つ。「罹災証明書の申請」「保険会社への連絡」「ライフラインの停止手続き」、そして「近隣住民へのごあいさつ」です。
罹災証明書の申請
火事を出してしまったら、片付けを始める前に、まず消防署に罹災証明書の発行申請を行います。罹災証明書は、被害のレベルを証明する書類として、保険金や補助金を申請する際に必要です。
保険会社への連絡
罹災証明書が発行されたら、つづいて保険会社に連絡してください。当然のことながら保険に加入している必要があるため、もし加入していないのであれば、このプロセスは不要です。
ライフラインの停止手続き
火事を出すと、ガスや電気、水道などのライフラインを使用できません。速やかに各ライフラインに連絡をして、供給を止めてもらいましょう。
近隣住民へのごあいさつ
火事を出してしまったら、近隣住民に必ずごあいさつに回らなければなりません。火事を出してしまうと精神的なダメージも大きいとはいえ、迷惑をかけたことは否定できません。近隣へ、実際に被害をもたらさなかったとしても、危険な思いをさせたことについて、反省と謝罪の気持ちを伝えましょう。
火事の後片付け·実際の作業の流れ
火事の後片付けについて、「ボヤ」「半焼」「全焼」と、焼損のレベルで分けて、実際の作業の流れを説明します。
ボヤのときの後片付けの流れ
ボヤ程度であれば、ご自身で片付けられる可能性がありますが、やはり有害物質が発生している可能性は否定できないので、業者に作業を依頼するのが安心です。
1.ススの清掃
建材や家財などが燃やされて発生したスス。非常に細かい粒子でできたススには有害物質が含まれている場合があるため危険です。ボヤの規模でも細かいススは舞って広がるため、ご自身で清掃しようとすると意外に大変です。ここは危険を冒さず、やはり業者に依頼することをおすすめします。
2.消臭
ススを取り除いたあとに、火事の臭いを消すための作業を行います。火事の臭いは市販の消臭剤程度では取り除けません。特殊清掃業者など、専門の業者に依頼してください。
3.家財の処分
家財が燃えてしまい、使い物にならなくなってしまったら、自治体のルールにしたがい処分します。火事で燃えてしまった物でも、通常のごみ収集サービスやごみ処理施設への搬入により処分できる場合があります。自治体発行のパンフレットなどで必ず確認してから処分してください。
半焼のときの後片付けの流れ
半焼の場合は、建物がかなり損傷しているため、ご自身で片付けることはできません。必ず専門の業者に後片付けの作業を任せてください。
1.業者に連絡
特殊清掃業者など、専門の知識と技術を持つ業者に連絡して後片付けを依頼します。
2.ススや燃えかすの清掃
業者がススや燃えかすの清掃を行います。半焼レベルになると、ススや燃えかすはかなりの量になります。建物の今後の利用方法なども考慮しながら、リフォームや建て替えも視野に入れて業者を選ぶことをおすすめします。
3.貴重品を安全な場所に移す
火事場泥棒という言葉があります。実際の火事場泥棒は、混乱につけこんで盗みを働くことですが、半焼レベルだと家を空けることになるので、泥棒対策として貴重品を安全な場所に移さなければなりません。
全焼のときの後片付けの流れ
建物が全焼してしまったときは、業者に後片付けというよりは解体を依頼することになります。
1.解体業者に連絡
建物が全焼した現場には、危険すぎて立ち入れません。全焼ということは、すべて燃えてしまったわけですから、建物の一部を再利用することも不可能です。解体業者に連絡して、現場を調べてもらったうえで見積りを出してもらいましょう。火事で燃えた建物の解体は、通常の解体作業と比較すると高くなることがほとんどです。そのため、比較サイトなどを利用して業者を絞り込んでから、現場を見てもらうことをおすすめします。
2.住まい探し
親類などの家で当面は暮らせる方でも、いつまでもいるわけにはいかないので、仮の住まいを探す必要があります。建て直すのであれば、近くに仮住まいを探したほうが、後々便利です。
火災現場の消臭について
ボヤの規模で、今後も同じ建物に住みつづけられる場合は、現場に残る臭いを消す必要があります。火事のあの独特の鼻に残る臭いは、かんたんに取り除くことができないので、先ほども触れましたが、特殊清掃業者など、専門の業者に作業を依頼しなければなりません。
専門業者は、火災現場での安全を確保するために、防毒マスクなどで装備を固め、専用のツールや薬剤を用いて消臭作業を行います。
火事現場の消臭をおこなっている特殊清掃業者は、事件の現場など、見るに堪えない状況の場所の清掃も行うプロフェッショナルです。火事現場の消臭作業に関するノウハウを蓄積している業者もあるので、このような業者に依頼するのが理想的です。
特殊清掃業者にできること
特殊清掃業者が火事の現場を片付ける際にできることを紹介します。
ススの清掃
すでにお話ししているとおり、危険な物質が含まれている可能性が高いススは、業者に片付けてもらうのがおすすめです。火が燃えさかっている最中は、気流によりススが舞い上がり、ボヤであっても広範囲に広がります。頑固なススは取り除けないこともあるので、特殊な薬剤で包み込む方法をとることもあります。
消臭と消毒
火事の現場の臭いを除去する際は、オゾンを中心に専用の薬品や薬剤を使用します。オゾンを使用すると、臭いと同時に有害物質を取り除くことが可能です。火事の現場の消臭と消毒には時間がかかるため、作業開始から終了までに10日程度はみておく必要があります。
家財や建材の撤去·解体
火災のあと、建物がまだ住める状態であったとしても、焼損した内装や家財は撤去しなければなりません。業者は内装を撤去したり解体したりすることにより、居抜きの状態にすることが可能です。
火事の後片付け·費用を節約するには?
火事の後片付けにはお金がかかります。できるだけその費用を節約するために、自治体が救済制度や支援制度を設けていないか調べてみましょう。制度があるようなら、お住まいの自治体のホームページで確認できるはずです。
救済制度を利用する場合は、先ほど触れた罹災証明書が必要になるので、忘れずに申請手続きをしておきましょう。
まとめ
火事を出してしまうと、それがボヤであっても、現場の後片付けは危険を伴います。火事の後片付けは専門のノウハウを持つ業者に依頼しましょう。建物の規模によっては、全焼してしまった場合、数百万円単位の出費になる可能性があります。火事を出さないに越したことはありませんが、もしも出してしまったときは、速やかに罹災証明書の発行申請を行い、諸手続きをおこなったうえで、近隣住民へのごあいさつに回りましょう。
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