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ごみ屋敷を片付けたい!ごみ屋敷を取り締まる法律について解説

ごみ屋敷は、その衝撃的なビジュアルがテレビをとおして伝えられたこともあり、多くの人々に認識されています。お住まいの地域でごみ屋敷を見かけたことがある方もおそらくいらっしゃると思います。現在、ごみ屋敷は大きな社会問題になっていますが、なかなかきれいに片付けたり、撤去したりすることは難しいようです。なぜ難しいのでしょうか?それは「ごみ屋敷を取り締まる法律が存在しないから」です。しかし、独自の条例を制定してごみ屋敷を強制的に片付けている自治体もあります。

 

ごみ屋敷をダイレクトに取り締まる法律はありません

各地で社会問題化しているごみ屋敷。しかし、今のところ、ごみ屋敷をダイレクトに取り締まる法律は、日本にはありません。廃棄物の撤去につながる法律はいくつかあるのですが、ごみ屋敷の場合は「住居」であることから、中にある物が明らかにごみとしか考えられなくても、既存の法律では手をつけることはできません。

ごみ屋敷については、国も調査をおこなっており、ごみの撤去だけではなく、ごみ屋敷の住人に対する支援なども含め、その重要性は認識しているようですが、まだ法整備の動きが具体化したわけではないようです。

ごみ屋敷の問題には、日本社会の少子高齢化の進行も少なからず影響しています。自治体が対応することが難しいケースも出てきており、国からの支援が望まれる状況になっていることはまちがいありません。

 

ごみ屋敷ごみ撤去につなげられるかもしれない法律

 

ごみ屋敷を取り締まる法律はなくても、ごみ屋敷のごみの撤去につなげられるかもしれない法律はあります。ただし、ごみの撤去につなげられるのは、詳細な条件をクリアした場合のみで、すべてのごみや残置物の撤去につながるような法律ではありません。

 

道路交通法

 

ごみ屋敷のごみは、敷地の外にもあふれていることがあります。このようなごみであれば、道路交通法を根拠に撤去できる可能性があります。

 

道路交通法は、歩行者や車両の利用者が、スムーズに、そして安全に通行するために定められている法律です。当然、ごみを含む所有物を勝手に道路上に置くことはできません。ごみが道路上にあふれていたら、歩行者も車両も、安全な通行を妨げられてしまいます。そのため、ごみ屋敷の敷地外の道路にごみがあふれていた場合は、道路交通法によりごみ屋敷の住人を検挙し、ごみを撤去することが可能です。

 

しかし、道路上のごみを取り除いただけでは、問題の根本原因であるごみ屋敷とその敷地内のごみは残されたままであり、ごみ屋敷問題の解決には至りません。

 

動物愛護法

 

動物愛護法というと、ごみとはまったく関係のなさそうな響きを感じますが、実は意外に関係があります。多頭飼育の崩壊により、家がごみ屋敷になるケースがあるからです。

 

動物愛護法では、ペットを含む動物たちを正しく扱い、虐待を防ぐことを定めています。多頭飼育の崩壊による劣悪な飼育環境は動物虐待です。これまでは罰金を支払うだけで済みましたが、現在は虐待をした人間を逮捕することも可能になっています。

 

動物たちの糞尿が放置された劣悪な飼育環境には、害虫や害獣が繁殖しやすいため、悪臭だけではなく、これらの害虫・害獣が近隣にも現れるようになる可能性があります。そんな環境で、落ち着いて生活をすることなどできません。

 

動物愛護法では、残念ながらごみ屋敷のごみを片付けることはできませんが、飼育されていた動物は保護されるため、動物たちがいなくなる分、悪臭などの被害は軽減されます。根本的な問題解決にはつながりませんが、この法律を根拠として警察に相談することは可能なので、被害に悩まされている方は、がまんせずに警察を頼りましょう。

 

ごみ屋敷に関連がありそうだが問題解決にはつながらない法律

 

ごみ屋敷の問題解決につながりそうな感じはあるものの、実はまったくそうではない法律もあります。廃棄物処理法と消防法です。

 

廃棄物処理法

 

廃棄物処理法は、いわゆる「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の処分方法などに関する法律です。家庭から排出されるごみと事業所から排出されるごみでは処分方法が異なりますが、かんたんに言えば、それぞれが責任をもってごみを処分することを定めている法律です。

 

ごみ屋敷のごみは一般家庭から排出されるごみですから、この法律でなんとかなりそうなものですが、実際はどうにもなりません。以下のような理由があるからです。

 

ごみが財産だから

 

私たちにとってはごみ以外の何物でもなくても、住人にとっては大切な物なのかもしれません。ごみ屋敷やその敷地内に置かれているごみは、住人の財産に当たるため、廃棄物処理法を根拠にごみを撤去することは不可能です。ごみ屋敷の住人は、ごみが自分の持ち物だと主張するので、廃棄物処理法はまったく役に立ちません。

 

不法投棄を証明しなければならないから

 

ごみ屋敷のごみが住人の財産でも、ごみ屋敷の敷地外に置かれているごみなら、廃棄物処理法の不法投棄を理由に対策をとれるのではないでしょうか?ところが、これもなかなかかんたんではありません。ごみ屋敷の住人が不法投棄をしたと証明しなければならないからです。ごみ屋敷の住人は、外にごみを捨てたわけではなく、置いただけだと主張すればいいだけです。不法投棄であることが認められた場合でも、当然のことながら屋内や敷地内のごみはそのまま残されます。

 

消防法

 

ごみ屋敷における最大級のリスクは火災です。それなら、消防法でごみ屋敷の取り締まりができそうなものですが、やはりこちらもかんたんではありません。

 

消防法は、火災から国民の生命や財産を守ることを目的に制定された法律です。その趣旨からすると、火災リスクの高いごみ屋敷は国民の敵ともいえます。しかし、それほど高い緊急性があるわけではないので、消防法ではごみ屋敷を取り締まれません。たとえば、ごみ屋敷に焼却施設があるなら話は別で消防法で取り締まることができますが、ただごみが積み上げられているだけだと、緊急性があるとは認められません。

 

ごみ屋敷は自治体が制定している条例で片付けられる可能性がある

ご紹介してきたように、法律ではごみ屋敷を取り締まることは事実上、不可能です。しかし、法律がだめなら…というわけで条例によりごみ屋敷の片付けを可能にしている自治体もあります。ごみ屋敷の扱いに苦慮している比較的規模の大きい自治体が条例を制定していることが多く、実際にごみ屋敷の撤去につなげているケースもあります。

 

条例に基づくごみ屋敷撤去までの流れ

自治体が制定しているごみ屋敷に関する条例は、ごみ屋敷からごみを片付けたり屋敷自体を撤去したりするだけではなく、ごみ屋敷の住人に対するサポートやケアも考慮されています。いくら近隣に迷惑をかけているとはいえ、ごみ屋敷の住人の多くが心身や経済的に問題を抱えているケースが多いからです。

 

自治体により内容は異なりますが、ほとんどの場合、自治体がごみ屋敷の住人に対し、助言や指導だけではなく、勧告や命令、それらに従わない場合は強制的にごみの撤去を行えるようになっています。

 

ステップ1:ごみ屋敷の調査

 

近隣に住む人たちからもたらされる相談、苦情を受け、自治体がごみ屋敷の調査を行います。ごみ屋敷の内外を含む状況が詳しく調べられ、状況に応じた指導へとつなげられます。

 

ステップ2:住人への指導

 

調査結果をまとめ、ごみ屋敷の状態を改善するための指導が行われます。このステップでは、繰り返し住民への訪問が行われますが、長期にわたり訪問を繰り返しても、状況が改善されないことはめずらしくありません。

 

ステップ3:住人への支援の提供

 

このステップは、住人への指導と並行して行われます。ごみ屋敷の住人は、先に触れたとおり、心身に病気や障害を抱えていて、それがごみ屋敷化につながっているケースもあります。経済的な問題を抱え、ごみ屋敷を片付けたくても行動に移せないという住人もいます。自治体は、このような住人が抱える問題のことも考慮して、病院などの関係する機関と協力して、住人に支援を提供します。

 

ステップ4:勧告

 

ごみ屋敷の住人に指導をおこなってもごみが片付けられない場合は、これまでよりも一段厳しい「勧告」が行われます。勧告は、その字面を見てもわかるとおり「勧めているだけ」で強制力もありませんが、指導よりも踏み込んだものです。

 

ステップ5:命令

 

勧告を受けてもごみ屋敷の状況が変わらない場合は、さらに一段厳しい「命令」が行われます。このステップでも強制力はありませんが、かなり「機は熟した」と言ってもいい厳しい指導です。

 

ステップ6:罰金

 

命令を受けてもごみ屋敷の状況が変わらない場合は、住人の名前を公表するとともに、自治体により、住人には罰金が科せられます。

 

ステップ7:強制撤去

 

ここまでのステップでごみ屋敷の状況が変わらない場合は、これまでに行政が指導、勧告、命令してきたことを、行政が代わりに行う「代執行」により、撤去作業が行われます。

 

条例があったとしてもごみ屋敷の片付けは難しい

 

このように、条例があったとしても、ごみ屋敷の住人は指導や勧告、命令に従わないことが少なくありません。行政代執行まで行けば、ごみは撤去されますが、実際、行政代執行まで到達するケースは少なく、問題解決とまではいかないのが実情です。

 

自治体も、行政代執行まで想定していることは少なく、結局は長い間、助言や指導が繰り返されるだけで、近隣住民にとってははがゆい状況が続くことになります。

 

神奈川県横須賀市では、2018年に行政代執行によりごみ屋敷のごみが撤去されましたが、それまでにごみ屋敷への訪問を数年間、100回以上繰り返しました。このごみ屋敷は、ごみが撤去された3年後には、元のごみ屋敷に戻ってしまい、テレビでも報道されています。

 

(参考:https://www.youtube.com/watch?v=OfR-nNDF1Hc&ab_channel=%E6%97%A5%E3%83%86%E3%83%ACNEWS

 

条例が制定されている自治体でも、ごみ屋敷の問題を解決することはかんたんではありません。

 

中国地方でごみ屋敷に関する条例を制定している自治体

 

ごみ屋敷に関する条例を制定しているのは大都市が多いのですが、なかには地方都市も見受けられます。今のところ、中国地方(広島県、岡山県、山口県、島根県、鳥取県)の自治体でごみ屋敷に関する条例を制定しているのは、岡山県総社市と山口県宇部市だけです

 

ただ、条例がないからといって、お住まいの自治体がごみ屋敷の問題解決に取り組んでくれないわけではありません。多くの自治体がごみ屋敷を認知しており、対応策を協議しています。

 

ごみ屋敷に関する条例を制定していない自治体における問題解決方法

 

ごみ屋敷に関する条例が制定されていない自治体にお住まいの方でも、問題解決につなげる方法はあります。条例があったとしても解決が難しいのですが、それでも、動かなければ解決にはつながりません。

 

自治体に相談する

 

自治体には、住人の安全な暮らしを確実にする役割があります。条例がなくても、安全な暮らしを脅かすリスクであるごみ屋敷の問題には、自治体も真剣です。自治体に相談することで、条例制定の動きにつながる可能性もあります。条例がなくても、ごみの撤去や指導、ケアのためにごみ屋敷の住民を訪れる自治体もあるので、まずはとにかく相談することから始めてみましょう。

 

賃貸物件ならオーナーや管理会社に相談

 

近年、共同住宅内の部屋がごみで埋め尽くされる「隠れごみ屋敷」が増えています。共同住宅内のごみ部屋にはなかなか気づきにくいのですが、共用部や外部にまでごみがあふれていたり、悪臭が発生していたりする場合は、オーナー、もしくは管理会社に相談してみましょう。このような状態は明らかな契約違反ですから、オーナーサイドも動かないわけにはいきません。

 

法律違反が疑われる場合は警察に相談

 

ごみ屋敷を直接取り締まる法律はなくても、道路交通法や動物愛護法に違反していることが考えられる場合は、警察が動いてくれる可能性があります。

 

まとめ

ごみ屋敷の問題は、現在の法律、条例では解決することがとても困難です。行政代執行までたどり着くまでにも長い時間がかかりますし、行政代執行まで至らないケースがほとんどです。ごみ屋敷の住人のほとんどが、近隣との関わりを拒んでいます。日本の社会構造のエラーとも言えるごみ屋敷の問題は、国や自治体だけではなく、一般市民も積極的に解決に関わるべき問題です。

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